取組み内容

緊張すると、顔は平静を装っても、心臓はドキドキと速く拍動し、手に汗をかく、というように身体に反応が現れます。こうした心拍数や皮膚の電気抵抗をウエアラブル端末で検出すると、そのヒトの「緊張度」を体温や血圧のように数値化して評価できます。私達の研究室では、このような脳・生体活動の計測から目に見えない「意思」や「情動」を評価する研究を行っています。

地震が発生したときの「不安」を可視化する、というこの取組みは、生体計測技術を専門とする電気電子生命学科の健康医工学研究室と、建築学科の構造力学研究室(小林正人教授)、建築構造研究室(富澤徹弥専任講師)とのコラボレーションです。加速度や変位など、地震動に対して「構造物がどのように揺れるのか」という従来の物理的な評価に加え、「ヒトがどのぐらい不安に感じたのか」を脳波計測で明らかにしようとしています。住空間の中での「不安」を可視化する技術の確立は、より使用者に優しい建築構造の開発に役立つだけでなく、学習や相談がしやすい空間づくりやヘルスケアの指標などとしての応用も見込まれ、私達の生活に革新的な変革をもたらす要素技術となる可能性を秘めています。

ウエアラブルデバイスを用いて計測可能な脳・生体活動指標。地震発生の不安を計測する研究では、VRデバイスから地震の映像を与えたり、地震シミュレーターで振動刺激を与えたりしながら脳波や心電図の計測を行う。
脳波計測の様子。複数の研究室の学生・教員が専門知識を共有しながら実験を進めている。
認知課題を行っているときの脳活動を表示したマップの例。この計測では頭部に近赤外光を照射して脳活動を計測する近赤外分光法を用いて脳機能マッピングを行っている。