取組み内容
社会が災害をどのように捉え、そして対応してきたかについて研究をしてきました。災害の多い日本において、防災・減災という形で多くの方が災害と向き合っていますが、同時にそのほとんどは迅速な避難、物資の備蓄、ボランティアとしての支援など、身の回りのこと、災害後に機能が低下した社会を生き延びることに集中しています。
しかし、災害はヴァルネラビリティ(脆弱性)、たとえば弱者に対する配慮の不足、多様性への無理解、格差の拡大といった社会の脆い部分を基点として被害を集中的にもたらすことが知られています。このような被害を防ぐため脆弱性の改善が指摘されるとともに、近年ではレジリエンス(回復力)という、災害の被害を受けてもそれを柔軟に受け止め、社会の機能を維持・回復させていく力が重要視されています。
筆者は、たとえばこのような取り組みの1つとして「災害復興」のあり方や、「災害の記憶」がどのように扱われているかを東日本大震災の被災地などで調査しています。前述のような災害後を生き延びるということを超え、より長期的に社会の持続可能性を考えるという点で、ヴァルネラビリティ(脆弱性)やレジリエンス(回復力)という考え方は重要性を増しています。