取組み内容

 私たち人間はケガや病気の際に、お医者さんに症状を説明することで適切な治療を受けることができます。一方で、私たちの身の回りにある多くの機械や構造物は、ダメージを受けていても人間が気付かなければそのまま放置され、事故が発生した時に初めて危険な状態であったことに気が付くケースが多くあります。そこで我々の研究室では、機械や構造物に「どこが痛いのか?どんな痛みなのか?」と声を聞く技術を開発しています。
 聴く技術としてアコースティックエミッション(AE)という技術を用います。AEは物が壊れた時に発生する音の事で、患者さんの声として使用します。AEの周波数や形状などの様々なパラメータを使って、どこでどのようなダメージが発生したかという物の声として聴くことができます。(写真1)
 また、大きな構造物などを検査するために、ドローンを使った新しい計測装置の開発を行っています。この技術は同じ機械工学科の加藤恵輔先生と共同で開発を行っています。(写真2)
 これらの技術の発展により、私たちの身の回りの機械、構造物をより安全に、安心して使用することができます。また、機器の状態を適切に推定するで、様々なエネルギー設備の低コスト化にもつながると考えております。(写真3)

(写真1)物の痛みの原因(壊れ方)と物の「痛い」という声(AE)の関連性をAE波形の様々なパラメータの特徴から調べます。
(写真2)検査が難しい大型の構造物などで検査ができるように、ドローンを用いて非接触で計測できるシステムを開発しています。
(写真3)水素エネルギーの低コスト化のために、水素貯蔵タンクの異常検出にAEを応用するための研究を現在行っています。