取組み内容

世界の英語圏各地を訪問し、英語文学を「横つながりのローカル文化」として読み解く(注1)。複数文化に育った移住者の子孫たちの新しい言葉を紹介する(注2)。オーストラリアを起点に、数万年にわたる土地の維持管理の知恵と、現代人としての批判的洞察力をあわせ持つ、各地の先住民族の文化を知る(注3)。入植者と先住者が協力する観光産業と知的財産保護のモデルを、北海道の歴史に学ぶ(注4)。LGBTQ等のラベリング自体を解消する、動的なセクシュアリティ認識を提案する。偏狭なルッキズムや同調圧力に負けないために、文化人類学の成果と方法を参照する。

これらの異なる主題と方法は、比較文学・比較文化の姿勢を選択したわたしの研究の道程で見いだされ、つながり、ひろがりつづけています。残虐の歴史や差別の現在を抱えながら、異なるものたちが異なるままに、多様性を維持し、優劣高低のない、いわば同列の平原で、共生する方法を具体的に日常的に、想定できるか。研究、執筆、そして教室での学生たちとのやりとりを通じて、「ひとしなみに隣人として、共に生き延びるための物語」を探求しています。

カリブ海・ドミニカ島で、カリブ海島嶼部に唯一残る先住民族コミュニティ、カリブ・テリトリーに住む女性と(ぼけていて残念ですが貴重な写真、右が筆者、身長150cm)
オーストラリア中央砂漠ニリピのアートセンターで絵画作成中の画家(Pauline Napangardi Gallagher at Nyirripi, Warlukurlangu Artists)
岩波ホール最後の上映映画となったヴェルナー・ヘルツォーク『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』のパンフレット(2022年6月 「ブルース・チャトウィンのオーストラリア――T・G・H・ストレローとアボリジナルズの秘密」を寄稿)
北海道立北方民族博物館第37回特別展図録『イヌイトの壁掛けと先住民アート』(2022年7月。「先住民族のコピーライトと二次使用システムの可能性―アボリジナル・アートを例に」を寄稿)