取組み内容
国際連携機構では、2013年より長期海外実習科目として「国連ユースボランティア・プログラム」を実施してきました。本プログラムは、国連ボランティア計画が本学を含む国内の8大学と連携し、毎年学生を開発途上国の国連現地事務所へ派遣しているプログラムです。SGDsの達成に貢献するために、各国の事務所の広報活動やプロジェクトの運営、そして社会調査等、現地の国連機関職員を支援するために活動します。派遣にあたっては、英語で書類を作成し、現地職員の方による面接を受けて実際に各国の受け入れ先事務所に採用してもらう必要があります。
2019年度は、ユネスコのカイロオフィスに政治経済学部の学生を派遣しました。参加学生は、事務所のスタッフと共に『GEOLOGICAL HERITAGE IN THE ARAB REGION』という出版物の作成に取り組みました。具体的には、アラブ地域の地形や気候等、各地理テーマに関して分析したり、地震、洪水、砂嵐等、自然災害による経済損失や人的損失について歴史的に文献調査をしたり、災害対策事例のケーススタディーに関して論文を執筆したりしました。通常インターンであっても修士の学位が必要な国連機関で、ボランティアとして任される仕事としては、かなり専門性の高い職務のサポートに従事することができました。参加学生は国連で将来働きたいという意志をより強固なものとすることができたようです。
現在気候変動により自然災害の発生率が高まる中、地球環境の改善策を考える上で非常に意味のあるプロジェクトに取り組むことができました。また近年日本人国連職員の数も他のG7諸国に比べて少ないことが指摘されています。近い将来より大きな地球規模の課題に向き合っていくには、日本が他国と協力しながら課題解決に取り組む必要があります。SDGsの達成のために、国際的な場でリーダーシップを発揮できるような人材が将来このプログラムから実際に輩出されることを期待します。
なお、2020年度は、新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、残念ながら、派遣プログラムは全て中止されましたが、2021年度は、派遣を再開するべく、本学から2名の派遣生を選出いたしました。参加学生の一人(文学部)は、FAO(国際連合食糧農業機関)カザフスタン事務所にて、同国の食料安全保障や栄養改善、飢餓・貧困撲滅などの問題について、もう一人(政治経済学部)はUN-Womenエジプト事務所にて、同国のジェンダー平等と女性のエンパワーメントに取り組んでいます。
両名とも、現在は、現地事務所の業務をオンラインで行っていますが、渡航先国の感染状況が改善次第、それぞれの任務地へ派遣される予定です。