取組み内容

 企業の情報開示に関して、これまでの財務情報に加えてサステナビリティ情報の重要性が一層高まっています。欧米を中心にサステナビリティ情報の基準の整備及び開示の制度化が行われています。日本においては、これまで企業により自主的に開示されてきましたが、2023年3月期決算から有価証券報告書等において開示されることになり、開示の第一歩が踏み出されています。
 サステナビリティ情報について、その信頼性を付与するためには、第三者による保証が行われる必要があります。EUでは、サステナビリティ報告に対する保証の義務化が進み、国際的にもサステナビリティ保証基準の開発が進められています。
 私は、ドイツのサステナビリティ情報を含む非財務情報に関する保証の現状をテーマとして研究を進めてきました。ドイツでは会計・監査の専門職業団体が指針となる文献を発行しております。資料1はその1つです。それを踏まえて、私は、ドイツの上場企業24社の非財務情報の保証の分析を行いました(資料2)。保証業務の業務実施者は、24社中23社が監査法人系であり、4社は大規模監査法人でした(資料3)。また、非財務情報に対する保証は、財務諸表の監査と同じ水準(合理的保証)で付された企業もありますが、多くは財務諸表の監査より低い水準(限定的保証)で保証が付される傾向にあることもわかりました(資料4)。
 今後、日本でもサステナビリティ情報の保証に対する議論がますます進展すると想定されます。

(資料1)ドイツ経済監査士協会(IDW)の発行したドイツにおけるサステナビリティ情報の開示と保証に関する文献
(資料2)2020年度においてDAX40に分類された企業の内、DAX30に以前から分類されていた企業24社を対象にした。
(資料3)保証業務の実施者はPwC、KPMG、EY、DeloitteというBig4会計事務所が占める。
(資料4)サステナビリティ情報の記載場所は統一されていないが、多くは限定的保証が付されている。