取組み内容

グリーンデバイスとは「創エネ」、「省エネ」、「蓄エネ」など環境維持に役立つデバイス・技術の総称です。「green」には、「緑色の・新鮮な」の他に、「環境を維持(保護)する」という意味が含まれます。電気電子生命学科の当研究室では、資源枯渇や環境汚染に対処するために、地球上に豊富に存在し、生体・環境に対する毒性が軽微な元素より構成される「環境配慮型半導体」を用いたグリーンデバイスの材料・プロセス・デバイス技術の開発を進めています。現在、広く普及している可視発光デバイスには、希少金属や毒性を含む材料が使用されています。一方、SiやSiC等のSi系半導体材料は、資源が豊富で無毒であり多くの光電子デバイスに使用されていますが、発光効率が低いという課題があります。ナノ粒子化したSi系量子ドットは強い可視発光を示すため、発光デバイスとして適用可能です。さらに、量子コンピュータ、バイオマーカー等への応用も検討されています。グリーンデバイスは、電気製品に環境維持に役立つ機能を積極的に付与してきた日本の「半導体」技術の強みを活かせる分野であり、今後、世界経済を牽引していく産業分野として期待されます。

地殻の元素組成(質量%)を示します。当研究室では、地球上に豊富に存在し、生体・環境に対する毒性が軽微な元素より構成されるSi、SiC、AlN、ZnO、Mg2Si、β-FeSi2等の環境半導体に関する研究を行っています。

第一原理計算による物性予測やTCADデバイスシミュレーションによる素子構造の設計からデバイスの試作・評価までを繰り返し行える環境づくりをしています。

4H(hexagonal)-SiC結晶(bulk)とSiC量子ドットの物性比較を示します。SiC量子ドットでは、4H-SiC結晶に比べて発光色が緑から水色に短波長シフトし、発光強度が2桁増強しました。第一原理計算の結果より、その物理モデルを検証しています。

台湾での国際会議TACT2023での学生の論文発表2件に対して、Poster Award of Excellenceが授与されました。これらはMg2SiおよびZnOを用いた「省エネ」デバイス構造および「蓄エネ」デバイス材料に関する研究成果です。