取組み内容

スマートフォンで大量のデータを使うことができるのは、その背後にある光ファイバ通信が発展してきたお陰です。
高度な光ファイバ通信では、光の偏波を使って通信しています。光通信に使用するレーザから出た光は直線状ですが、光信号が光ファイバを通過すると、光ファイバに加えられる応力や温度変化により、直線から楕円、円と複雑に変化していきます。
光通信では光の偏波を利用しているため、直線から偏波状態が変化してしまうと、データを正しく送ることができなくなります。
そのため、光の偏波状態を測定することが非常に重要になっています。従来の方法では、電気信号を用いて、偏波状態の測定が行われてきましたが、複雑な複素数の演算を多数回繰り返す必要があるため、消費電力が増大し、地球環境へ与える影響が懸念され始めています。
そこで総合数理学部では、ソフトバンク(株)と共同で、上記問題を光信号処理で解決する研究を進めています。共同研究では、ミラーを組み合わせた光回路に光信号を入力するだけで、偏波状態を測定可能であることを、世界で初めて発見しました。この方法を用いると、消費電力を従来の十分の一以下にすることが可能です。

写真① 
光ファイバを光が進むうちに、光ファイバ加えられる応力や温度変化により、偏波状態が変化し、その結果、様々な偏波状態に変わっていく
写真② 電気信号による偏波状態の測定
写真③ 光信号処理による偏波状態の測定
写真④ 光信号処理による偏波状態の測定