取組み内容
明治大学国際武器移転史研究所では、現代世界が直面している兵器の拡散問題や軍縮・軍備管理の問題を、経済史・国際関係史・帝国史・軍事史などの歴史研究と今日の政策課題をめぐる論議の両面より追究し、その成果を広く各方面に発信しています。
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近現代の軍縮・軍備管理の問題はきわめて複雑な様相を呈しており、問題の重大性にもかかわらず、その本質を見定めることは容易でありません。兵器や軍事の問題は闇の中に閉ざされているかのごとくであります。
【研究】軍縮・軍備管理研究の成果発信
本研究所では武器移転(arms transfer)という概念に注目してきました。それは冷戦期を対象とした国際政治学の分野で頻繁に使われてきましたが、本研究所のプロジェクトはそれを軍縮と軍備管理を取り巻く近現代世界の本質的構造を解明するための分析概念として、歴史研究の分野に適用して多くの成果を残してきております。
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また、研究所が発行している機関誌『国際武器移転史』には、日本国内のみならず多くの海外研究者の論文も掲載されております。創刊号(2016年1月)から最新の第14号(2022年7月)までに掲載されたすべての論文が研究所のウェッブサイトから閲覧できます。
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【教育】先端的な研究成果の教育への還元
国際武器移転史研究所では、全学共通総合講座を介して最新の研究成果を学部教育にも還元しております。
「アジア諸国の軍事的自立化の現段階-武器移転史の研究から-」(2021年度春学期)では、アジア国際秩序の変動要因として常に問題視される武器の生産と輸出入、すなわち「武器移転」の問題を国際政治学、経済史、政治史、移民史など多様な学問領域から論じております。
また、「ポスト・コロナ時代の軍縮・軍備管理を展望する」(2021年度秋学期)では、通常兵器や生物・化学兵器の軍縮・軍備管理ついては、大学で学ぶ機会が極めて少ない現状を踏まえて、現在、軍縮・軍備管理の国際的な政策論議や実務が大きな転換期を迎えている状況を紹介しております。
纐纈 厚『リベラリズムはどこに行ったか』(緑風出版)の内容紹介はこちら
国際武器移転史研究所主催の2022年度全学共通総合講座の概要はこちら
【研究・課外活動】ポスト・コロナを見据えたオンライン・セミナーの取組み
多くの大学が新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにオンライン授業の導入を余儀なくされましたが、学術交流の分野でもいくつもの制約が課されてきました。しかしこの間、国際武器移転史研究所では、新たな次元の多角的でより国際的な活動のスタイルを模索してきました。以下は、そうした取組みへの参画事例です。
‘Race and Gender in Humanitarian Disarmament’
軍縮セクターにおけるジェンダーや人種差別問題、さらには人道支援活動のグローバルな課題に論及し、これからの時代の軍縮を展望
‘BLM and the International Aid Community: Reflection by a Former Aid Worker from Japan’
ブラック・ライブス・マター運動の展開と国際援助機構の抱える諸課題に関する議論を展開
「武器貿易条約(ATT)における無人兵器の規制状況」
2014年に発効した「武器貿易条約(ATT)」には無人兵器をどの程度規制できるのかを問う